2008年4月 3日 (木)

パンズ・ラビリンス

すごい映画でした。

主人公は、オフェリアという女の子。彼女は、自分が魔法の国の王女の生まれ変わりだということを知ります。魔法の国にもどるには、現実世界において、三つの試練を乗り越えなければなりません。果たして、オフェリアは、無事、魔法の国にもどれるのでしょうか。

というのが、お子様向けのストーリー紹介。これにだまされて子どもに見せたら、一生のトラウマになりそうな残酷描写が満載です。なので、大人向けのストーリー紹介にしてみると……、

オフェリアは、身重の母といっしょに、新しい父親(大尉)の駐屯地におもむく。大尉は、ゲリラ殲滅のためには手段を選ばない残酷な人間だった。大尉は、母体よりもじぶんの子どもを優先させるよう医者に頼み、母親を死なせてしまう。オフェリアには、ひとりだけ信頼できる女中がいた。が、彼女は、ゲリラの仲間だった。女中にも大尉の魔の手が伸びるのは時間の問題だ。オフェリアは、そんな現実のむごさに翻弄されながらも、人間らしさを貫こうとする。彼女を支えていたのは、おとぎ話への高貴な思いだった。

こうして書くと、全然、話が違うでしょう。ファンタジー(古いおとぎ話)としても、リアルな話としても見ることができる。だから、奥深い。感涙なのか、悲憤なのか。それは見る人次第です。

パターンをなぞっているだけの腐れファンタジーが多い中、すばらしいオリジナリティと志の高さです。まだ未見で気になる作品は残っているものの、去年のベストワン映画は、これかも。残酷描写に耐えられる人には、おすすめ。

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2008年2月27日 (水)

ダイモン占い

映画「ライラの冒険」のキャンペーンとして、動物占いのパクリのようなものがあるのを見つけました。

http://www.goldencompassmovie.com/?&start=daemons

http://daemon.gyao.jp/daemon/

わては、ミサゴでした。なんのこっちゃ。

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2008年1月27日 (日)

篤姫がおもしろい

大河ドラマをまともにつづけて見るのはこれがはじめてなんだけど、いいですねえ、「篤姫」。

今日は藩主と謁見するのが主要なエピソードだったんですが、

杓子定規な挨拶→挨拶が終わって気を抜いたところを藩主に見つかる→言い訳をしているうちに藩主と打ち解ける→打ち解けた気安さから、思いきったことを訊く→一気に緊張状態になる

という一連の流れが自然で見事でした。いい脚本です。

父親と謁見の稽古をしている図も笑いがあってよかったです。昔のホームドラマのノリですね。

いずれはこの姫が藩主の養女になり、そこから将軍家に嫁ぎ、大奥の最高実力者になって江戸城の無血開城に貢献していくわけですから、このお転婆な性格設定で、どう統一感を保っていくのか、興味津々です。じぶんの頭の中で脚本を組み立ててみても、途方にくれるくらい、むずかしい。でも、この性格だから、大河の仰々しさがいやだった人間にも親しみがもてるんですから、最後まで貫いてほしい。時代考証にうるさい人にはブーイングものなんでしょうが(笑)。もう楽しみでなりません。

「パコダテ人」と「アフラックのCM」しか知らないのであまり気にしていなかった宮崎あおいも、芸達者なこと。脱帽です。

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2008年1月20日 (日)

戦隊ものだったのか仮面ライダー電王

この記事は、「仮面ライダーなんて見ないよ~ん」という人のための記事です。ですから、かなり誇張してあるので、フアンの人の「そうじゃねえだろ、バーロー」というつっこみは、なしね(笑)。

仮面ライダーシリーズって、今回の「電王」まで、ちょっと低調気味だったんですね。元々、仮面ライダーを現代の技術でよみがえらせたらどうなるかではじまったのがオダギリジョー演じる「クウガ」だったわけで、そこから「アギト」うんぬんにシリーズをつなげていくうちに、悩むイケメンをだせば、ガキじゃなくて、大きな女友だちがギャーギャーさわいでくれることがわかってきたと。

で、イケメンイケメンイケメンとつづけていったはいいものの、どうにも率が落ちてきたと。そういえば、前回シリーズは、主婦受けねらいがミエミエの、料理をするイケメンでした。で、前回の低調を受けて、はじまったのが「電王」だったわけです。

で、今日が最終回。ややこしいストーリーは抜きにして、骨格はこうです。

赤、青、黄、黒、白のキャラが、必殺技をつぎつぎつないで、最強の敵をたおす。

これって、戦隊ものの王道パターンじゃん。

もちろん、ゴレンジャーがでてくるわけではないのですが、イマジンという味方モンスターは、いかにもマンガっぽく、その色におうじたキャラを演じ、そしかも四人+特別ゲスト一人で、最後にはきっちり五人になっちまいました。戦隊ものなら、なぜか巨大ロボにのって戦うのですが、電王は、仮面ライダーのくせに、バトルのクライマックスでは、ロボットならぬロボット気味の電車が大暴れしてくれました。

そうです。今回好調だったのは、じつは戦隊もののテイストを、それと気づかせずに、ひねった形で移植していたからなのです。

王道パターンって、強いよねえ。けど、それでいいのかというと微妙でもあります。だって、仮面ライダーは、ゴレンジャーじゃないのだから。うーん。どう評価したらいいのかわからないです。

にしても、今回は、主演女優が途中降板するという異様なシリーズでもありました。無理やりつじつまは合わせてあったけど、最終回にもでてこなかったことからすると、舞台裏は大変だったのでは?

 

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2008年1月12日 (土)

キサラギ

映画「キサラギ」を観ました。ストーリーは、D級アイドル如月ミキの一周忌に集まったファンが、ミキの自殺の真相に迫るというものです。出席したメンバーの中に、ミキを殺した真犯人がいるのではないか?  思わぬ疑惑から、メンバーのミキに対する意外な親交があきらかになり、犯人候補がつぎからつぎに変わり……、というような密室サスペンスです。

脚本がよくできているから評判はすこぶるいい映画です。

うーん。うそをついても仕方がないので、正直にいいます。

すまん。おもしろくないとはいいません。ていうか、展開は一流。でも、体質に合いませんでした。

だってさ、こういう類の密室劇は、時間が進行するにつれ登場人物の人間像が浮き彫りになるというのが、王道でしょう。この映画もそれを踏襲しているんだけど、それが、あまりに浅いというか、マンガっぽいんだ。いっとくけど、コメディー=マンガじゃないからね。

一番もやもやしたのは、ストーリーの中で「アイドルは虚像」というセリフをはかせながら、結局、この如月ミキって、妄想虚像アイドルそのものだったこと。アイドルというより、アニメのドジッ子キャラそのものじゃん。「こんなやつ、おらんやろ」。

だから、最後の最後の歌も、アニメ声優ソングっぽくなったんじゃないの?

アニメがわるいといいたいのではありません。「遅れてきた清純派アイドル」がキャッチフレーズの子は、現代ではアニメキャラにしかならないのが問題といいたいわけ。 

現代のアイドルって、喫煙常習犯の加護ちゃんとか、自分からアプローチして「できちゃった婚」した辻ちゃんとか、もう夢の見ようがない存在なんですよね。昔のアイドルもバラエティトーク番組で、アイドル時代のご乱交を自慢げにしゃべってるし。現役アイドルも、けっこうクロさを前にだすやつが多いし。ファンタジーキャラの小倉優子も、「とったどー」との関係が報じられた時点でもう苦しいでしょうが。

だから、映画でアイドルを描こうとすれば、アイドルはアニメキャラに近くならざるをえない。生身のアイドルの実像は、(見ためはイモねえちゃんなのに)虚像中の虚像である純粋ドジッ子アニメキャラそのものだったというオチは、どーなのよ。そんな妄想にしか逃げられない男って、ほんと、かわいそう。

なんか現代の病理を感じました。脚本家はそこまで考えて書いているのかもしれませんが、笑えないっす。

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2007年12月30日 (日)

アシッド映画館ベスト10

ABCラジオ・アシッド映画館において、リスナーが選ぶ今年の映画ベスト10が発表されました。
これを押さえておけば、まず間違いないので、今年もここに書いておきますね。
結果は以下のとおり。

1 キサラギ
2 ドリームガールズ
3 パンズラビリンス
4 トランスフォーマー
5 ALWAYS 続三丁目の夕日
6 それでもボクはやってない
7 ボーンアルティメイタム
8 ブラッドダイアモンド 
9 新世紀エヴァンゲリオン 新劇場版
10  世界最速のインディアン

11 河童のクーと夏休み
12 300
13 パイレーツオブカリビアン 
14 よき人のためのソナタ 
15 ヘアスプレー
16 リトルミスサンシャイン 
17 夕凪の街桜の国 
18 スパイダーマン3 
19 レミーのおいしいレストラン 
20 エディットピアフ

ワースト1 大日本人 ワースト2 恋空 スパイダーマン3  

またもや日本映画が大健闘ですか。一位だけじゃなくワーストも(笑)。

キサラギは、一月にDVDが出る模様。これは絶対観なくちゃね。なんでも、爆笑ミステリーだそうですよ。

今年はあまり本数を観ていないので、わたしが、この中で知っているのは、「ドリームガールズ」「それでもボクはやってない」「リトルミスサンシャイン」「レミーのおいしいレストラン」だけ。

個人的には「それでもボクはやってない」がもっとも印象的。傑作。痴漢冤罪って、こんなにこわいものだったんですか! 男性にとって、この映画は、ホラー以上のこわさがあります。もう電車に乗れません。

「ドリームガールズ」は体質に合わなかったので、ごめんなさい。わたしには、太ったねえちゃんよりビヨンセのほうが歌手として上に見えてしかたなかったんですが。ありがちなストーリーだし。

「レミーのおいしいレストラン」は、人間のにいちゃんの不甲斐なさがなんとも。いくらなんでもネズミが作った飯は食いたくないわい(笑)。

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2007年8月21日 (火)

映画「リトルミスサンシャイン」

ストーリー: ミニバスで娘のミスコンテスト会場にむかう家族のドタバタと再生の物語。

ミスコンといっても、少女が対象のもので、おまけに主人公の娘はちょっとオデブさんという設定です。つまり、どう考えても、最初から負け組なわけ。それに合わせるかのように、家族全員も負け組です。ゲイの交際トラブルから自殺未遂したおじ、成功者プログラムで一儲けを企みながら挫折するおとう、ニーチェに憧れながらも色盲で夢をあきらめざるをえない兄、クスリをやったおかげで老人ホームを追い出されたおじい、そんな家族のあいだであたふたするかーちゃん。

いくらでも沈鬱にできる設定でありながら、コメディーになっているという点が秀逸です。こいう群像劇をコンパクトにまとめるって、ほんと、むずかしいんだよ。

おとうの成功者プログラムのおかげで、「勝たなければ意味がない」という価値観に、家族は苦しめられています。だけど、自分たちは明らかに負け組。家族は、バラバラでありながら、なぜか負け組の象徴のようなことが起きるたび結束します。

押さなければ動かなくなったオンボロ車をみんなで押すと、妙にたのしい。

ミスコンテストで、おじいの指導どおりエロダンスを娘がしだすと、みんなは赤面しながらも応援する。

そういう行為のひとつひとつが、勝利至上主義へのアンチテーゼになるんですね。だから、妙な爽快感が残ると。

客観的に見れば、それでもどうしようもない家族で、これからもどうしようもないのは目に見えているんですけど、そのどうしようもなさを開き直って楽しめというメッセージを読めなくもありません。映画自体は家族愛でまとめてありますけど。

おもしろい。

それにしても、アメリカは、おとう的なもの(強さへの憧れとコンプレックス)が、ほんと、すきっすね。こんな地味な映画がアカデミー候補にまでなったのは、そのせいなんでしょう?

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2007年2月16日 (金)

李香蘭

テレビ東京系列で2月11日と12日に連続放送された「李香蘭」(山口淑子の半生記)、やっと見終わりました。CMをカットしても合計四時間の大作でした。

ズバリ、おもしろい! ストーリーはもう大河ドラマそのものです。「夜来香」とか「蘇州夜曲」とか、四十代のわたしでも懐メロでしかない歌(といいつつ、大好きでカラオケで歌ったこともある)を主演・上戸彩の声で聞けるという特典つきもうれしかったです。やっぱり昔の歌は叙情的でいいっすわ。

日米開戦の十カ月前に日劇で李香蘭のショーを観ようとして七回り半の群集の列ができていたなんて初めて知りました。もう「贅沢は敵だ」の標語が掲げられていた時期じゃないですか。へえ~。

ここを読みにきている人にマニアックな知識も書いておきましょう。番組の音楽担当は服部隆之氏になっていました。蘇州夜曲の作曲者は服部良一。ドラマの中にも、李香蘭の戦友?として出てきます。服部良一の息子が服部克久(小林亜星に盗作したと訴えられた人)。その息子が服部隆之です。「服部隆之ってだれ?」という方はドラマ「のだめカンタービレ」のエンドロールを見ればいいでしょう。そこには、しっかり服部氏の名前があります。つまり、ドラマのむこうにドラマの世界から現在まで続いている歴史があり、それに我々もかかわっているということが認識できるわけです。へえ~。

李香蘭の人生はここ↓に詳しいです。これを読むだけでも相当おもしろいです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E9%A6%99%E8%98%AD

上戸彩の演技は、あんなものでしょう。てゆうか、かなりがんばっています。むしろ、今の若手女優に昭和歌謡をアカペラで歌える歌唱力を持ち清潔感がある人間はいない(あえて言うなら柴咲コウだろうけど、あのキッツイ顔で中国人はない)ので、彼女でいくしかなかったと思います。川島芳子役の大根役者・菊川怜は論外。

テレビドラマにしてはものすごい大金を注ぎ込んだに違いない作品なので、いずれ再放送もあるでしょう。もしかしたら上戸彩の劇中歌のCD化もあるかもしれません。だけど、だからこそ、この作品はもっと短くしなければならないとも思いました。

四時間は長すぎる。これでは観てもらえるものも観てもらえなくなります。それでは、あまりにもったいない。

試しにDVDの機能を用いて編集をやってみました。李香蘭以外の登場人物のエピソードを徹底的に削っていく。特に菊川怜は完全削除。甘粕のエピソードも少なめに。そうすると、二時間四分。そこまで短縮できました。しかも、この方がテーマ性がはっきりして、映画並の質になることもわかりました。

角川かテレビ東京さんへ。こっちの方が絶対いいです。試しにこちらで編集したものをお送りしましょうか(笑)。家庭の機器での編集なので完璧ではないけど、叩き台にはなるはず。二時間ものとしてならもっと観て貰えるだろうし、映画化もできるでしょう。

追記 WIKIPEDIAを読んだ方へ。

ドラマは、WIKIPEDIAのストーリーにさらに肉付けしたものでした。李香蘭はロシア人女性と老境に至ってから再会しています。そこで彼女に告白されます。彼女の兄は731部隊に殺されたのだと。彼女は、あのとき本来なら敵である日本人の李香蘭を救ってくれていたのですね、一友人として。 

さらに追記。

などと好き勝手なことを書いて、再視聴して、気が変わった分の書き直しをしていたら、公式ホームページを見つけてしまいました。掲示板をのぞいたら激賞の嵐ですね(笑)。しかも、視聴率がいまいちだったこともわかってしまいました。やっぱり長すぎるからじゃん。もったいない。四月には早くもDVD化されるそうです。見逃した人は必見。めずらしく長々と書いているのは、それだけ興奮したからです。

http://www.tv-tokyo.co.jp/rikouran/

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