「青空の卵」 坂木司著 東京創元社
名探偵はひきこもりという帯がついていたので、読んでみたら、ひきこもりというよりも、アダルトチルドレンの癒し小説でした。
主人公はあまり外出しないひきこもりであり、それを心配する友だちが些細な日常の謎・事件を持ち込んでくると。すると、主人公は、結果的に安楽いす探偵よろしく、数少ない手がかりで謎を解いてしまう、というのが物語の基本構造になっています。
ただ変わっているのは、日常のミステリを解いているうちに、人と人との繋がりができ、主人公やその友だちが人生の深みのようなものに触れて癒されていくというところです。安楽いす探偵とアダルトチルドレン(断じてひきこもりではない)の癒しをくっつけちゃったわけ。
賛否両論あるみたいだけど、せちがらい本格推理小説など最初から相手にしていないわたしには、このウエット感が児童文学みたいで気もちよかったです。ちょっと引用してみますか。310ページあたり。
親になるというのは、お金や責任もあるけれど、なにより、自分よりも幸せにしたい人間ができることなのだ。それはきっと、国や人種を問わない。世界中の親は、子供を想ってこうつぶやくだろう。 「幸せに、おなり」 (引用終わり)
今時、ここまであからさまな綺麗事は、児童書でもなかなかお目にかかることはできないぜ。でも、この本は、オトナ向けのミステリとして、それをやろうとしてるんだ。きちんと説得力を持たせて。
なるほどぉ。こんな手もあるのか。新鮮でした。
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/165204/3934034
この記事へのトラックバック一覧です: 「青空の卵」 坂木司著 東京創元社:
コメント